幻聴や突拍子もない被害妄想の始まり
大抵の人には珍獣みたいな感覚だと思いますが、統合失調症……幻聴や突飛な被害妄想に襲われてる人間にも、家族がいるわけです。
では、家族から見て前兆はあったのか?
思い悩む様子は見受けられた、という感じですね。
けれど、まさかそれから幻聴や被害妄想に移行するとは、全く思いませんでした。
うつ病の前兆と言われても納得できるような、統合失調症独特な雰囲気といったものは感じ取れない、ただ深く悩んでいる様子でした。
それが急転したのは、「風呂にカメラが仕掛けられている」「外から罵倒が聞こえる」と言い始めた時でしたね。
当時は今ほど心療内科や精神科への理解は高くなく、両親もなるべく家で様子を見たがっていたフシがありました。
しかし数日後、幻聴や被害妄想を現実と思い込んで自殺を図ろうとしたり、「食べる資格がない」と食事を拒否したりしたことで、ついに家族総出で抱えて病院に連れていきました。
姉は心ここにあらずといった感じで、ぼんやりと両親に両脇を抱えられていました。
統合失調症の診断が降り、即日入院となりました。
……とまぁ、これが姉の場合の統合失調症急性期です。
高校を休んで日がな一日姉と向かい合い、姉が自殺のために包丁の方に向かおうとする度にしがみついて止める、という日々は、今でも忘れられません。